フリーランスとして働く人は日本に今、どのくらいいるのでしょうか。

内閣府が24日に発表した資料によると、フリーランスとして働く人の数を「306万人から341万人」程度と推計しました。その間を取れば「324万人」程度でしょうか。そして、日本の就業者数のうち、今フリーランスで働いている人が全体の5％ということになります

フリーランスは、最近注目されている働き方の一つで、業務委託などで自らの能力・スキルで仕事をする個人事業主のことを呼びます。

クラウドワークス、ランサーズなどが有名ですね。クラウドソーシングサイトで、オンライン上で在宅ワーカーと仕事発注者のマッチングを行うなどしており、フリーランスとして働きやすい環境が少しずつ社会的にも構築、認知されてきています。

昨年、クラウドワークスの会員者数は200万人を超えたそうで、盛況をみせています。さて、そんな中フリーランスの登録者が「約300万人」ということですが、実は、この人数はおかしいのです

ここでランサーズが昨年発表した資料を見てみましょう。

なんと、「進化するフリーランスの未来ーフリーランス実態調査2018ー」（最後にリンクを貼っておきます）によると、フリーランスの人口は、「1119万人」いるそうです。なんと、3倍以上値が異なっています。これはおかしいですね。どちらかが間違っているようです。

ランサーズという会社自体は「フリーランスという働き方が増えてほしい！」そんな意図をおそらく持っているため、これは多めに見積もりすぎていたということでしょうか。もしそうであれば問題です。統計を使って嘘を作っていたことになってしまいます。

■フリーランスという定義とは

と・・・気になるところですが、実はそうでもないようです。

実は、フリーランスの定義を確認してみると面白いことがわかります。

フリーランスは、ランサーズの資料「フリーランス実態調査2019」によると、「1年以内に業務委託を受けたことがある者」として、以下4つの分類にわけ、集計しているようです。

・副業系すきまワーカー（454万人）：
　　⇒1社に雇用、副業で業務委託を受けている者

・自由業系フリーワーカー（53万人）：
　　⇒雇用形態はなく、プロ意識を持つ者
　
・自営業系独立オーナー（322万人）：
　　⇒個人事業主もしくは法人経営者（従業員1人）の者

この合計値として1119万人としています。

しかし、内閣府が今回集計した資料によると、フリーランスとは、「自営業主」及び「内職」を対象とし、そのうち雇人がいる者、あるいは店を構えている者、また、農林水産業の者は除いて計算しているようです。

つまり、上記の分類でいえば、副業系すきまワーカーや複業系パラレルワーカーはおそらく対象者ではありません。

残った2つ、自由業系フリーワーカー（322万人）、自営業系独立オーナー（53万人）の合計が375万となっており、今回の集計の範囲の中央である約324万人と比べて＋15％程度となっており、およそ近い値となりました。

■同じ情報の質を１から１０に上げる方法

言葉を調べるときには定義が重要です。
一言に「求人倍率」と言っても、「有効求人倍率」と、「新規求人倍率」で値が大きく違うように、言葉の定義が違えば大幅に値は違ってきます。

同じ「フリーランス」という言葉でここまで値が違えば、誰しも違和感は抱くはず。ふとニュースの言葉をそのまま飲み込めば、「フリーランスって300万人いるんだなぁ。」

で終わってしまいますが、どこかのタイミングで、ランサーズの公式報道資料を見るなどすれば「1190万人」となり、それだけで混乱してしまいます。だからこそ、情報を得るときは、丁寧に得るという所作が重要になるわけです。

もちろん、我々にはあまり時間がありません。忙しい中、正しい情報を得るために多くの時間が使えないことはわかっています。であれば、その言葉の定義だけでも調べる習慣をつけましょう。

「フリーランスってどういう定義ですか？」

「どこからどこまでの人をフリーランスって呼ぶのですか？」

と。それだけで同じ情報を得るだけでも、情報の質が変わってくる。

そんな日々を意識して過ごしていきたいものです。

■参考URL

・日本のフリーランスについて―その規模や特徴、競業避止義務の状況や影響の分析―（内閣府）
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/07seisakukadai17-0.pdf

・進化するフリーランスの未来ーフリーランス実態調査2018ー（ランサーズ）
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/wp.lancers.jp/lancers-corporate/wp-content/uploads/2018/10/29145950/cec348bac720cf4d4a47e0f4ecbec952.pdf

■数字力を高めたいあなたへ

本文で用いたような考え方、計算トレーニングが学べ、習得できる
「数字トレーニング体験セミナー」を行っています。

「より多くの方に苦手な数字を、得意にするための一歩を歩んでほしい。」
そんな想いから無料で行っておりますので、まずはぜひご参加いただけたらと思います。